結婚・子育て・保育 事例 4

育児を手助けする現場

NPO法人えんまる 共同代表理事 岩間 千佳

NPO法人 えんまる の ロゴ

 長年の保育園、幼稚園勤務のあと、出産子育てのために園の現場からいったんは離れましたが、自身の子育て中でも、やはり大好きな子どもたちとかかわる場を作りたい。2014年に小さな組織「えんまる」を設立、少人数のピアノ教室、子育てのなやみ相談、子どもとお母さんが気軽に集まれる場所を作り、にぎやかでたのしい毎日を送ってきました。

 そんな活動の中でのお母さんたちのつながり、自身の友人、また、以前勤めていた勤務先の同僚など、さまざまな方面から聞かれる、仕事と子育ての両立の大変さ、そして立ちはだかる同じ問題点。それは以前、私が園の現場で毎日のように経験した、働くお母さんを悩ませる子どもの急な病気、あの辛い記憶でした。

 以前勤務した園には転勤があり、保育園に5年間勤務をした時のことです。保育園には仕事と子育てを頑張っているお母さんがたくさんいました。 毎朝早い時間にお母さんから電話があります。「朝起こしたら38℃の熱があって。保育園お休みさせてください」「わかりました。お大事にしてくださいね」 (今月お休みするの3回目だけど大丈夫かなぁ。お母さんも体調よくないって言っていたけど、無理しているよね…) そんな心配の毎日でした。

 また、子どもが熱を出し37.5℃になるとお母さんに連絡しなくてはなりません。すると「今すぐには行けないので、あと2時間だけ預かってもらえないでしょうか」とのことでした。そして、息を切らしながら迎えに来てくれたお母さんの姿…。そして、1日風邪でお休みをした次の日は、夜7時まで預かり保育。「昨日休んだ分、今日がんばらないと…」疲れた顔のお母さん。「今日はお母さん 仕事でおそいの…」寂しそうな顔で待つ女の子。みんな帰ってしまった静かな暗い教室で、お母さんを一緒に待っていたことが何度もありました。 親子で頑張る姿に何度心が痛んだ事か…。

子どもが熱を出して寝込んでいるイラスト

 そして、現在。園の現場から離れて数年経過していますが、働くお母さんたちの状況は改善にはほど遠くむしろ悪化しているように感じています。私が住む長野市でも共働き世代が増え、核家族化も進んでいますし、ひとり親家庭も増えています。子どもが急に熱を出しても仕事は休めない。誰かに子どもを預けることができない。近くに頼る人は一人もいない。子育てをしながら働くお母さんは大きな壁に当たりながら毎日を精一杯がんばっているのです。

 自身の園での長年の実務経験、そして えんまるの活動をおこなってきた中で、子どもの急な病気で困っているお母さんの話をくりかえし聞くたびに「仕事と子育てにがんばって、いつも自分のことは後回し、そんなお母さんの力になりたい」「具合の悪い子どもにさみしい思いをさせずに元気にさせてあげたい」 、そんな気持ちが日に日に大きくなり、私の強い思いからできたのが、えんまるの病児保育です。

えんまるの病児保育を勧めているイラスト

 2018年4月に長野市でえんまるの病児保育事業をスタート。お母さんとお子さんのことを第一に考え、えんまるの病児保育は具合の悪いお子さんが安心した環境で過ごすことができる自宅への訪問型にしました (病児保育には、お子さんを施設に届けて保育を行なう施設型とご自宅にスタッフが訪問して保育を行なう自宅訪問型の2種類があります) 。 

 以下、えんまる病児保育の5つの特長です。

1 慣れた環境でお子さんも安心の自宅型訪問保育

 具合の悪いお子さんを移動させる必要がなく、お子さんがいつも過ごしている一番慣れた環境で安心して過ごすことができます。お母さんも、預ける、引き取りにいくといった手間が省け、時間の短縮になります。在宅での1対1の保育のため、インフルエンザや水ぼうそうなどの感染力の強い疾患の場合もお預かり可能、周囲から他の病気をもらう心配もありません。はしか以外、すべての疾病・病状でご利用いただけます。

2 プロの保育士による病児保育

 えんまるの病児保育スタッフは保育士、幼稚園教諭の有資格者、そして園での実務経験が10年以上の子どものことを知り尽くしたプロスタッフです (保育スタッフを経験豊富な有資格者のみに特化したのは全国初です) 。病児の看護の知識、技術を学んだ、子どもの性格、特徴を見抜き、その子にあった対応が臨機応変にできる保育スキルを持つプロが、マンツーマンで保育を行ないます。

3 当日朝7時30分までのご依頼には100%対応

 前日からのご予約はもちろん、当日朝7時30分までのご依頼に100%対応します。朝起きたら発熱!という場合にも対応可能です。お子さんの急な発病時はもちろんですが、仮にお子さんが病気にならなくても「もし病気になっても、えんまるがあるから大丈夫」、そう思えるだけで、日々の生活の気持ちが大変楽になるのではないでしょうか。

4 緊急お迎え代行

 お仕事中、保育園からの突然の電話。「○○ちゃんが熱を出しましたので、お迎えに来てください」。すぐには仕事は抜けられないし、でも子どもの症状も心配…。会社にも園にも迷惑を掛けてしまう…。 誰か代わりにお迎えに行ってくれれば…。そう一番感じるのは、園からお迎えの電話があった時ではないでしょうか。保育中にお子さんが熱を出した際、お母さんに代わって園にお迎えに行きます。勤務先や園にご迷惑をかけません。

5 受診代行

 お母さんによる事前受診が難しい場合、保育スタッフが代わりにかかりつけ医への受診を対応いたします。お母さんは通常通りお仕事に出勤してください。

えんまるの病児保育の特長を表わしたイラスト 現場経験10年以上、子どものことを知り尽くしたプロの保育士だからこそできる子どもの病状・性格に合わせた保育を行います。

生き生きと働くお母さんを見て育つということ

 具合の悪い子どもを第三者が看る病児保育についてはさまざまな意見があると思いますが、具合の悪いわが子を第三者に看てもらう際に心苦しい思いをしないお母さんはいらっしゃらないと思います。それでも、働かないといけない理由、働きたい理由があるのが事実、現状です。

 働くお母さんを悩ませるお子さんの急な発熱。でも、そんな時も信頼して子どもを預けることのできる人がいる。

 それは、お母さんの実質的な負担の軽減はもちろん、日々の暮らしにも余裕を持つことができ、「安心して仕事を頑張れる」、そして「子育てが楽しい」と思えるようになるのではないでしょうか。

 そして、お母さんご自身が“今の自分の人生”を生きていること。そんな生き生きと働き続けるお母さんを見て育つことは、 お子さんの今後の人生にも必ず良い影響を与えるはずです。親子で笑いあえる時間が増えること。私達えんまるにそんなをお手伝いをさせていただけるよう、長野市で精一杯取り組んでいきます。

 ※2018年4月にスタートしたばかりの活動ではありますが、困っている親御さんは本当に多く、えんまるの病児保育はやはり必要とされるサービスであると確信しました。また、家事・育児+働くお母さんにとって、現実的に病児保育は必要なものですが、さまざまなお母さんと実際に直接向き合う中で、精神的に追い込まれているお母さんも少なくないと感じ、こちらのサポートにも力を入れていきます。

えんまるをまとめたイラスト 私たちえんまるは小さな組織です。社会を変える、そんな大きなことは出来ません。出来ることはただ一つ、目の前のお母さんの代わりになる事です。

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