私の高校生活 いじめ・不登校を越えて

高校生 野沢 百花


 私は小学校も中学校も不登校でした。不登校の原因はいじめです。

 特に中学の時のいじめは陰湿で、一度ターゲットになってしまったらもう逃げ道はありません。耐えられなくなって、中学2年生の時に学校を休むようになりました。当時、私は本当は学校に行きたかったです。

 中学に入学して、新しくできた友だちや新しいクラスメイトと心に残る3年間を作り上げていこうと、1年生の頃は思っていたので、1年生の時はどんなに辛いことがあっても、何とか毎日学校に行っていました。

 でも、2年生になった頃からいじめは悪化していきました。私物がいくつか盗まれ、一番悲しかったのは、私のカーディガンが盗まれ、切り刻まれて出てきた時です。まさかそこまでひどいことをされるとは思っていなかったので、その時は本当にショックでした。先生も何とかしようとしてくれましたが、どうにもなりませんでした。結局、誰がそんなことをしたのか、今でもずっとわからないままです。

 不登校になって家にいる時もずっと、本当は学校に行って友だちと楽しく過ごしたいという気持ちと、他のみんなは学校に行っているのに、自分だけ学校に行けないでいることに対する罪悪感でいっぱいでした。

 ですが、勉強面に関してはサポートしてくれる人がいたので、勉強のことではあまり困ったことはありませんでした。高校生になった今でも、あの時きちんと勉強していて本当に良かったなとよく思います。

 中学校のいじめのきっかけは本当にささいなことから始まると思います。勉強ができないということも、もちろんいじめの原因のひとつになると思います。

 でも、私が特に辛かったのは、体育ができないということです。体育が得意ではないだけでいじめられるとは思っていませんでした。本来なら、「みんなで協力して全力で楽しもう」という気持ちでやれば、体育はとても良いものなのだと思いますが、ただ勝負に勝つことばかりを考えている人がたくさんいると、運動が苦手な人にとっては、楽しいどころか苦痛でしかありません。

 私も体育の授業の時、いつもみんなの足手まといになっていて、授業が終わった後に「あいつがいたから負けた」とか「ボールに触らないでくれればいいのに」と、影で言われていました。辛くて体調が悪くなることもよくありました。

 こういう時に、先生がもう少し何か工夫して指導できなかったのかと思います。先生もきっと、できる人とできない人は見ていてわかると思うのですが、何もしてくれなかったことも悲しかったです。

 でも、今の高校での体育は楽しいと思えるようになりました。それはクラスメイトのおかげです。負けたり失敗したりしても何度も励ましてくれたり、できないところがあると、一緒に練習に付き合ってくれたりします。そのおかげで苦手だった競技もだんだんできるようになって、仲間と協力しながらスポーツするのは楽しい、と思えるようになりました。

 体育の授業のことはほんの一例です。高校に入学してからは楽しいと思えることがとても増えました。学校行事やイベント、中学校で楽しめなかったことが今、全部楽しめています。

 友だちも増えました。前までは人と関わるのがとにかく苦手で、少しでも雰囲気が悪い人とは絶対に話したりしませんでしたが、やっぱり高校で新しい友だちが欲しいと思って、頑張って自分から周りの人に話しかけるようにしました。

 初めのうちは会話がつながらなかったり、話題がなかったりしてうまくコミュニケーションがとれていませんでしたが、何回か話すうちに、気づいたらいつの間にか仲良くなっていたという人がたくさんいます。

 最初は「感じ悪いな」と思っていた人も関わっていくなかで、良いところや優しいところがちゃんとあって、思い込みや先入観にとらわれすぎないで、いろんな人と関わっていった方が楽しいし、勉強になると思いました。

 なので、今は明るい子やおとなしい子でも、大抵どんな人とでも普通に接することができるようになりました。自分とは性格が真逆な子と遊んだりするのも、前は疲れるだけでしたが、仲良くなってからはお互いに理解し合えるようになり、一緒に過ごす時間はすごく楽しいです。 

 でも、友だちが増えたら楽しいことが多い半面、揉め事も多くなりました。一番多いのは意見の食い違いです。自分では何とも思っていなかった発言でも、相手にはとてもイヤな感じに伝わってしまったり、自分の考え方が相手には理解してもらえなかったりです。

 そんなことが度々あって、初めて友だちとケンカをしたりもしました。でもそんなふうに誰かとケンカをするようになったのも、自分の意見がきちんと言えるようになってきたからだと思っています。以前だったら友だちとケンカをするなんて考えられませんでした。

 高校に入学してからもう1年が過ぎましたが本当にいろいろな経験をしてきました。小学校も中学校も学校になじめなくて、高校でも不登校になってしまうのではないかとずっと不安でしたが、実際1年経って振り返ってみると、私が送りたいと思っていた高校生活がちゃんと送れたと思いました。

 1日も休まず毎日学校に行けたことや、友だちがたくさんできたことも全部中学生の時の私が望んでいたことでした。初めてのことばかりで、戸惑ったり悩んだりすることもたくさんありましたが、それ以上に充実していて新鮮なことだらけの毎日でした。

 何よりも自分が本当に成長したと思っています。人見知りだったのに、人と関わることが好きになったり、自分の意見や考えを人に伝えるのが苦手だったけれど、今はそれができるようになっていたりして、1年間でこんなに変われるものなんだなと少し驚きました。

 同じ中学校出身の同級生も、「本当に別人みたいに明るい性格になったね」と驚いていました。

 まだ高校はあと2年間ありますが、残りの2年間もきっとあっという間に過ぎてしまうと思うので、悔いの残らない素敵な学校生活を送りたいと思っています。

 ただ、私立高校について 学費がちょっと高すぎるのではないかと思います。いくら義務教育ではないといっても、貧困家庭や片親家庭にとって、あの学費を3年間支払っていくのはかなり経済的にキツイものだと思います。

 両親が共働きの家庭でも、大変だと感じている家はたくさんあると思うのですが、貧困家庭や片親家庭は奨学金を使わないと本当に支払いきれません。奨学金を利用していても、足りないくらいです。

 もし高校を卒業して、さらに進学して学びたいことがあっても、大学や短大、専門学校はこれ以上にお金がかかってしまうので、進学したいけれどお金がなくて進学をあきらめざるを得ない人たちが私の周りには大勢います。

 私自身も大学で勉強したいことがありますが、とにかくお金のことが心配でしょうがないです。なので今は良い制度がないか探しているところです。

 調べてみるとさまざまな奨学金制度があって、こういう奨学金制度がもっと充実して、お金がないから進学をあきらめなければならないという人が減っていけば良いかなと思います。学ぶ意欲のある人たちがとことん学べる環境や学習制度がどんどん増えていってほしいです。

 高校生は、将来の選択肢の幅が一番広い時期だと私は思います。だからこれからも新しいことにチャレンジしたり、できる限りさまざまな体験や経験をしていきたいです。

 学校に通っていると勉強のことや人間関係のことで辛くなったり困ったり、とにかく悩みがつきないです。それでも私にとって今、学校で過ごしている時間はかけがえのない特別な時間です。

 学校が大嫌いだった私が現在楽しく学校に行けているのは、たくさんの人の支援があったおかげです。本当に感謝しています。いろんな人のおかげで送れている学校生活を一日一日大切にしていきたいと思います。

 そして高校を卒業する時に「楽しい3年間だった」と心から言えるようになっていることが私の目標です。


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